
英語のリスニング、特に教材用でない映画などを見ていると、字幕やスクリプトを見て何度も聞いているのにも関わらずそこに書いてある単語が聞きとれないことがしばしば起こります。
まず疑うべきは自分の思っているその単語の発音と実際の単語の発音が違うということです。とくに日本語としても使われている英語でよく起こります。カタカナ発音の単語を期待して待っていてもその単語は聞こえてきません。たとえば、千と千尋の神隠し Spirited Away [1]で出てくるbouquet(ブーケ)はカタカナで書くならば発音は"ボーケイ"、さらにアクセントは日本語と逆の後半"ケイ"の部分にきます。この場合、いくら日本語の"ブーケ"を聞こうと待っていても聞き取れないのがわかります。
しかしほとんどの場合、単語が聞き取れない理由はこれではありません。聞き取れないのはあなたの耳が英語に対応していないのではなく、ネイティブスピーカーは単語のスペルのまま発音していないからなのです。これらは実は日本語でも起こっています。例えば、"そのような"を"そんな"と言ったり、"しなくてはいけない"を"しなきゃいけない"と言ったり、日本語でも会話内では当たり前のように使われますよね。"そんな"を何十回聞いても"そのような"を聞き取ることはできません。これらの日本語の表現と同じで、以下の発音のルール・省略表現はとても便利で、リスニング力アップのヒントをくれるものばかりです。
このような英語を聞き取るために必要なことは、"1、発音のルールをマスターする"こと、"2、省略の起こりやすい単語/ペアをマスターする"ことの2つです。
省略表現は"is not"を"isn't"と言うこともあれば、"is not"と言うこともあるのと同じで必ず省略したものとして表現されるわけではありません。しかし、ネイティブスピーカーの会話を注意して聞けばとてもよく使われていることに気づきます。
これさえ覚えればリスニングの力がぐっと上がり、さらにはスピーキング力も上がります。ネイティブは言いにくいものを省略しているので、覚えれば英語の文章を発音するのがとても楽になります。では、実際に見ていきましょう。
1、発音のルールをマスターする
A.子音+母音
ー前の単語の最後の音が子音で、次の単語の先頭の音が母音の場合つなげて発音する
Dad: It looks like an entrance.(千と千尋の神隠し Spirited Away [2])
likeの最後の音"ク" + anの最初の音"ア" = "カ"
anの最後の音"ン" + entranceの最初の音"エ" = "ネ"
合わせて"ライカ ネントランス"
B.同じ音×2
ー前の単語の最後の音と次の単語の先頭の音が同じの場合1度のみ発音する
Haku: I'm back from my mission.(千と千尋の神隠し Spirited Away [8])
"フロムマイ"⇒"フロマイ"
C. t+子音
ーtの音の後に子音が来る場合、tを発音しないで止めることが多い
*これは、文章だけではなく単語内でも起こります。
Mom: It looks delicious. (千と千尋の神隠し Spirited Away [5])
"イットルックス"⇒"イッルックス"
ここでの発音のポイントは、ただtの音を消すのではなく小さい"っ"を代わりに入れて一度音を止めることです。
D. p,k,b,d,f+子音
ーp,k,b,d,fの音の後に子音が来る場合、p/k/b/d/fを発音しないで止めることがある(tよりも頻度は低い)、または弱く聞こえる
Dad: It's an abandoned theme park. (千と千尋の神隠し Spirited Away [4])
"アバンダンドシィーム"⇒"アバンダンッシィーム"
E. t,d,p,kが文末
ー最後がt,d,p,kの音の単語で文章が終わる場合、最後の音が無音、または弱く聞こえる
Foreman: Relax and enjoy it. (千と千尋の神隠し Spirited Away [20])
"エンジョイイット"⇒"エンジョイッ"(イイ⇒イは1-Bを参考)
F. t,d,s,z + y
ー前の単語の最後がt,d,p,kで、次の単語の先頭がyの時音が混ざることがある
Rin: Is this what you smell? (千と千尋の神隠し Spirited Away [12])
"ワットユー"⇒"ワッチュー"
*yを子音と考えて、1-C/1-Dのルールでt,dの音は無音("ワッユー")になることもあります。(スピーカーの癖による)
G.母音 + t + 母音
ーtが母音に挟まれると音がdまたはlのようになる(北米英語)
Chihiro: What are those stones? (千と千尋の神隠し Spirited Away [2])
"ワットアー"⇒"ワダー"/"ワラー"
2、省略の起こりやすい単語/ペアをマスターする
中学校のときに"will not"が"won't"になると習いませんでしたか?もしこれを知らずに"won't"を聞けば、どの単語を聞いてるのかまったくわかりません。"don't"のようなものは必ず習うものですが省略表現は学校で習うものを超えてたくさんあります。それでは見ていきましょう。(アポストロフィー(’)はその部分が省略されていることを表します)
A.学校で習うもの
"will not"⇒"won't"
"would"⇒" 'd"
"(現在完了)have"⇒" 've"
ーーFrog: Where 've you been? (千と千尋の神隠し Spirited Away [8])
ーー"ホウェアハブ"⇒"ホウェアブ"
"(現在完了)has"⇒" 's"
"(過去完了)had"⇒" 'd"
B.接続詞・前置詞
"and"⇒" 'n' "
pens 'n' books
"ペンズアンドブックス"⇒"ペンズンブックス"
"or"⇒"er"
cats "er" dogs
"キャッツオアドッグス"⇒"キャッツアードッグス"
"of"⇒" 'a"
Kamajii: Out 'a the way. (千と千尋の神隠し Spirited Away[10])
"アウトオブザウェイ"⇒"アウタザウェイ"
"to"⇒"ta"
ー"got to"⇒"gotta"(1-Gのルールと合わせて、"ガダ"/"ガラ"のように発音)
ー"have to"⇒"hafta"
ー"has to"⇒"hasta"
ー"used to"⇒"useta"
ー"supposed to"⇒"supposta"
C.動名詞
"動詞ing"⇒"動詞in' "
D.疑問詞+過去形疑問文
"What did〜?"⇒"What'd〜?"
"When did〜?"⇒"When'd〜?"
"Where did〜?"⇒"Where'd〜?"
"Why did〜?"⇒"Why'd〜?"
"Who did〜?"⇒"Who'd〜?"
"How did〜?"⇒"How'd〜?"
E.代名詞
"he"⇒" 'e" (heが文頭のときは省略しない)
ーーDoes 'e play soccer?
ーー"ダズヒー"⇒"ダズイー"(1-Aと合わせて)⇒"ダジィー"
"his"⇒" 'is"
"him"⇒" 'im"
ーーRin; What about 'im? (千と千尋の神隠し Spirited Away [17])
ーー"アバウトヒム"⇒"アバウトイム"(1-A、1-Gのルールと合わせて)⇒"アバウディム"/"アバウリム"
"her"⇒" 'er"
"them"⇒" 'em"
ーーRin: Just leave 'em. (千と千尋の神隠し Spirited Away [11])
ーー"リーブゼム"⇒"リーブエム"(1-Aのルールと合わせて)⇒"リーベム"
F.助動詞+have・助動詞not+have
"should have"⇒"shoulda" 〜するべきだった
"could have"⇒"coulda" (もし〜だったら)〜できた
"would have"⇒"woulda" (もし〜だったら)〜だっただろう
"might have"⇒"mighta" 〜かもしれなかった (1-Gのルールと合わせて、"マイダ/マイラ"のように発音)
"shouldn't have"⇒"shouldna" 〜するべきではなかった
"couldn't have"⇒"couldna" (もし〜だったら)、〜できなかった
"wouldn't have"⇒"wouldna" (もし〜だったら)〜しなかっただろう
G.その他
"going to"⇒"gonna" 発音は"ガナ"に近い
"want to"⇒"wanna"
"give me"⇒"gimme"
"let me"⇒"lemme"
"about"⇒" 'bout"
"because"⇒" 'cause"
"come on"⇒"c'mon"
"dont know"⇒"donno"
"Okay"⇒"'Kay"
もし、このバイリンガル育成プログラムの驚きの効果を知りたいなら2週間後に字幕なしで映画を見て下さい!!

【関連する記事】